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小津映画について

2013年12月12日 20:24

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「もしわれわれの世紀が聖なる物にまだ場を与えるとすれば、映画の神殿を建てるとすれば、
私は個人的にそこに日本の映画作家、小津安二郎の作品を置くだろう。」
——ヴィム・ヴェンダース(小津安二郎の痕跡を追った映画「東京画」より)



ボクが初めて小津映画を観たのは浪人時代でしたか、
今はなき銀座の並木座ででした。
その頃は都内には名画座がたくさんあって、ぴあを片手に観てまわったものです。

消毒液のような塩素の匂いがたちこめる、ジメっとした地下の劇場。
くたびれた小さな座席に座って観た初めての小津映画は、衝撃の一言でした。


カメラはすべて固定。
ちゃぶ台が水平に見えるほどの超ローアングル。
役者のセリフは棒読みのよう。
しかもカメラ目線でしゃべっている。


なんなんだこれは・・・


ボクはこれまで自分が観ていた映画的、ドラマ的文法の枠を超えて迫ってくる、
数々の演出技法に戸惑い、あっけにとられ、ストーリーが全然頭に入ってきませんでした(笑)

それでも、1カット、1カットが絵画のような美しい構成美で、
役者の棒読みにも品性を感じ、なんてたおやかで美しい世界なのだろうと、
いつのまにか観入っていました。

それからは池袋文芸地下などにも通い、小津映画をたくさん観ました。

独特の映画文法にもなれてくると、小津映画のユーモアの部分にも気づきます。
「彼岸花」などを観ていた時、後ろの座席から、たぶん友達に強引に連れてこられた人でしょうか、
「おい、おもしろいじゃねーか!www」みたいな会話が聞こえてきましたね。



現在では海外、特にヨーロッパで小津映画に対する評価が高く、
芸術作品のように受け止められていますが、
何が凄いかって、これが日本では公開当時においては、
普通に娯楽作品として多くの人に観られていた、ということですね。

妻に先立たれた父を思い、なかなか嫁に行かない娘。
心配する父。おせっかいを焼く周囲の人々。
ようやく娘、嫁に行く。
父悲しむ。

みたいなストーリーですよ。

だれも芸術作品と思って観てなかったと思いますよ(笑)

でも、何気ない人の営みに、人間の機微や残酷な一面を垣間見せる丁寧な脚本、
小津調とも言える独特に演出に、観客は何か普遍的なものを見出だしていたに違いなく、
そこが国を超えて、理解された所でもあると思います。





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生誕110周年に尊敬の念をこめて、とりとめもなく・・・







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コメント

  1. イトウナオ | URL | -

    こんにちは

    >何が凄いかって、これが日本では公開当時においては、
    >普通に娯楽作品として多くの人に観られていた、ということですね。


    当時はまだTV黎明期。
    娯楽は舞台・映画・寄席など、自分で足を運ぶ必要があった時代。

    娯楽への渇望だけだったのかもしれないけれど、良質のものをごく自然に観る事が出来、見巧者を育てた時代でもあったと思います。

  2. ロボトリア | URL | -

    >イトウナオさん

    コメントありがとうございます。

    そうですね、娯楽の選択肢が今よりずっと少なかった時代、
    自分で足を運び、お金を出して楽しみを見出だしていたからこそ、
    作り手も真剣勝負だったと思います。

  3. 楽日 | URL | -

    お早よう

    小津安二郎監督の作品の中でも地味な作品です。
    でも、そのユーモア。
    クスっとさせてしまう、落ち着いたユーモア。
    大好きです。

    私は小津安二郎監督と誕生日が同じです。
    密かな誇りです。

  4. ロボトリア | URL | -

    >楽日さん

    コメントありがとうございます。

    「お早よう」観てます!
    子ども達がかわいらしく描かれてますよね。
    お早よう、こんにちは、いい天気ですね、そんな何気ない意味のない挨拶が、
    とっても大事なんだというテーマが印象的でした。

    おお、お誕生日おめでとうございます!
    お互い年輪を深めるような、いい歳の取り方をしたいものですね(笑)

  5. チョービギナー | URL | h7JsBsjs

    私も初めて観たのは「彼岸花」でした。

    私と奥さんを自宅に招いてくれた私の敬愛する先輩(そう、あのアンチヘブリンガンのオーナーです)の処でVTRを観させてもらったのが最初の小津体験でした。

    確かに。あの映像とセリフ回しが醸し出すテンポには違和感感じまくりでした。でも私もその違和感と一緒にやってくる心地良さににもすぐ魅了されました。ああ、ストーリーとかもうどうでもいいや。とにかくこのテンポの中にずうっと身を浸していたい、そう感じさせてくれる映画でした。

    「優れた映像作家は、潜在的な優れた喜劇作家である」という蓮見重彦さんのフレーズはまさに小津のためにあるような言葉で、徹底した映像設計のなかから滲み出してくる「可笑しみ」のトリコにもなりました。
    私もその後、並木座に通うようになりましたが、「秋日和」「秋刀魚の味」といった「彼岸花」と同工異曲のような晩年の一連の作品にハマってしまいました。
    ああ、会社を抜け出し昼間っから座敷にあがてしょうもないハナシで酒を酌み交わすああいうオッサンになりたい... 酒もロクに呑めない私にとってそれは憧れの桃源郷でした(笑)

    コメディが醸し出すドラマの味わい深さを教わった。そんな気が今しています。
    12月12日。やけに並びのキレイな日に生をうけ、還暦となった60年後のその日に亡くなるというスタイリッシュな生きざま。
    やたらと小津を神格化するのは好きではないのですが、一方的に怖れと憧れを抱きつつ、今年もこの日を過ごしました。

    因みにこの日に家に帰ってから観たのは、「麦秋」でした。
    あ。そのうち絶対「アンチヘブリンガン」で「あまちゃんオフ会」やりましょうね(笑)

  6. ロボトリア | URL | -

    >チョービギナーさん

    コメントありがとうございます。

    >ああ、ストーリーとかもうどうでもいいや。とにかくこのテンポの中にずうっと身を浸していたい、

    そうなんですよね。あの会話のリズム、美しい日本語と所作がなんとも粋で、
    観ていて心地いいんです。

    何かというと酒を飲んでいたあの現実離れした幸せな空間、ほとんどファンタジーでありました(笑)

    >12月12日。やけに並びのキレイな日に生をうけ、還暦となった60年後のその日に亡くなるというスタイリッシュな生きざま。

    そして墓碑に刻まれた文字は「無」の一文字ですからね。
    何かを成し遂げた人でないと刻めない一字だと思いました。

    >あ。そのうち絶対「アンチヘブリンガン」で「あまちゃんオフ会」やりましょうね(笑)

    やりたいやりたいやりたーい!
    あまちゃん本気で好きな人と、あーでもないこーでもないと語り合うオフ会、夢です!(笑)

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