--年--月--日 --:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

クラフトワーク東京公演〜至福の音像につつまれて

2013年05月20日 20:32

クラフトワーク「3-D CONCERTS 1 2 3 4 5 6 7 8」日本公演がすべて終了しました。

ツールド

ボクは東京公演8日間の内の、
DAY 2 『放射能/Radio-Activity』、
DAY 4 『人間解体/The Man Machine』
DAY 5 『コンピューター・ワールド/Computer World』、
DAY 8 『ツール・ド・フランス/Tour De France』の、
4公演に参戦しました。

世界のあらゆるジャンルの音楽シーンに、多大な影響を及ぼしたテクノ創始者、テクノ神、
クラフトワークの、ニューヨークMoMAや、デュッセルドルフの美術館でも行われた、
音楽の枠を超えた「鑑賞」に値するコンサートとは、どのようなものであったのか。

ボクが体験した赤坂BRITZでの、夢のような4日間。
その記憶の断片をたどってみたいと思います。




入場時に配布された3Dメガネに観客はとまどっていた。

「かけずらくね?」
「うっとおしいよね」
「最悪外しちゃえばいいよね。クラフトワークが見れればいいんだし」

そんな会話がボクの背後で聞こえる。
観客の年齢層は高かったが、若い人や女性も少なくなかった。

開演時間。会場が暗転する。


「れーでぃーす えーん じぇんとるめえええん・・・」


地鳴りのようなアナウンス。
世界一かっこいいボコーダーボイスが会場に響き渡る。

「おおおおお!」

あのクラフトワークが本当に今、ここに来ている。
そんな興奮につつまれた瞬間。
・・・でも大阪では「声おかしいで!」というツッコミが入ったという・・・(爆笑)


幕に投影されるロゴとともに「THE MAN MACHINE」が流れる。
ザ、ママシマシマシマシマシマシマシマシマシマシーーン

「おおおおおお!」

幕が落ちる。


「・・・???」

「!!!!!!」

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
「すげええええええええええええええええええええ!!!」


眼前に現れた、踊るロシア構成主義の幾何学模様とMACHINEの文字。
遠く背後にはグレースケールでシックに羅列されたMACHINEの文字群が、
ゆっくりとたゆたい、赤や白の構成主義的幾何学模様を引き立てる。

どよどよどよどよ・・・

観客が目の前の状況を把握するのに4〜5秒要したと思う。

「これは凄い!」
「こーれは凄いわ!」

先ほどの背後の観客は、ただただ驚嘆していた。
もちろんボクも、である。

ママシ



KRAFTWERK 3-D CONCERTS。
それを最初聞いたとき、実はピンとこなかった。
「なぜ今更3D?」
今まで3D映画を何本か観たが、正直あまり必要性を感じたことはなかった。
現実の世界はすべて立体だ。映画やテレビはこれまで仕方なく平面で見せてきた。
それを技術革新で立体的に錯視させるようにしたのが3Dなんだけど、
やっぱり現実の3Dにはかなわないわけで、かえって近づけた分、違和感が際立ったような気さえした。


クラフトワークの発想はまるで逆だった。

本来2Dで完結していたグラフィックアートの世界を3Dで展開したのだ。
それは現実の世界にはどこにも存在しない。
冒頭、観客が驚嘆の声を出したのは、単なる事象だけに驚いたのではない。
その卓越したアイデア、センスに共感し、膝を打ったのである。

「THE MAN MACHINE」のエル・リシツキーにインスパイアされた抽象立体が、
巨大な柱となって眼前に迫ってくる様は痛快そのものだった。
「うおおおお! ぶつかる!!」
こんな光景見たことない!



「SPACELAB」では宇宙ステーション。
棒状に突き出たアンテナが、こちらに向かってぐんぐん迫ってくる。
先端恐怖症の人なら恐怖におののくだろう。
「うおおおおおおおお、わははは!」
観客は歓喜している。
だが、この宇宙ステーション、よく見るとさほどリアルではない。
昨今の、写真のように緻密なCG映像とは比べようもないレベルだ。
宇宙ステーションの内部から見た構図で描かれている計器類。
もう、笑っちゃうくらいぞんざいである。
絵のうまい小学生レベル(笑)
だがそれでいいのだ。
それが良いのだ。
リアルは追求しないのだ。
それはボクたちが子どもの頃にあこがれた夢の未来。
まさにレトロフューチャー。

「AUTOBAHN」のフォルクスワーゲンやハイウェイの風景もそう。
絵、そのものだ。
牧歌的な反復メロディに乗せて、飛び出す電気的紙芝居にうっとりする。

アウトバ




「RADIOACTIVITY」はFUKUSHIMAが加えられた、一部日本語で歌う2012年のNO NUKESバージョン。
ボクが高校生の頃、初めて接したこの美しくも優しい叙情的名曲が、
その後時代とともに本来の意図を変化させられ、
今また、このような形でリアル世界とリンクしていることには、実は複雑な気持ちでいる。

だが、彼らが真摯にこの日本で起きた悲劇的な事実を受け止め、
メッセージを発してくれることは、本当に嬉しいし、勇気づけられる。
あとはボクたちがこれをどう昇華するかであろう・・・
楽曲、映像、パフォーマンスは素晴らしいのひとことだ。

radioac.jpg




「TRANS-EUROPE EXPRESS」のモノクロ列車の鋭利なクールさ加減はどうだ。
極限までシンプルに削ぎ落としたイラストは記号化スレスレだ。
単なる直線を、交差の妙で疾走感を産み出すとは!

テエエ



「METROPOLIS」の林立する直線的な近未来ビル群。
ビルのようにも見えるし、パターンのようにも見える。
未来礼賛なのか、はたまた風刺なのか、すべては見るものに委ねられる。


「VITAMIN」の巨大カプセル群の舞う美しさはどうだろう。
カルウム、カルシウム、アイシン、マグネシウム・・・
ひたすらビタミンの名称を連呼する曲でなぜ感動するのだろう。
アーベーセーデー ビタミン!

ビタミ




イチ、ニ、サン、シ。
「NUMBERS」のファンキーなリズムに身体の揺れを抑えられない。
黒人から愛され、ヒップホップシーンの源流ともなったこの曲は、
無機質な数字のみの歌詞とはうらはらに、とてもエモーショナルだ!

ナンバー




それら壮大なビジュアルショウを支えるサウンドもまた立体音像だった。
会場の後方にサラウンドスピーカーを設置しているので音がまわるまわる!
そして重厚かつ非常にクリア!

クラフトワークのサウンドには隙間が多い。
だからひとつひとつの音が粒立ち、余韻を堪能できる。
絵画を鑑賞する時、描かれたモノを見る人と、その周りの背景を見る人がいる。
どちらも等しく重要なのは言うまでもない。
クラフトワークは音で空間構成をしているのだと思う。
鳴っていない瞬間も音楽を感じる。
だから非常にイマジナブルなのだ。


robots.jpg



演奏は、想像よりはるかにダイナミックだった。
コンソールで手元は隠されているけど、はっきり演奏してます(笑)
それもものすごいグルーヴで。
絶妙のタイミングで繰り出される電子パーカション。
地の底で響くような低音ベース。
壮大でシンフォニックなメロディライン・・・
すべて肉体で制御しているという印象。
まさにマンマシーン!

ノンスト



****



MCなし、アンコールなし。
ロボティックなイメージを鋼のコンセプトで貫き通してきたクラフトワーク。
だが、8日目の東京最終公演で奇跡が起こった。

定番の最終曲「Music Non Stop」の終盤、メンバーがひとりずつ舞台から去り、
最後に中心人物ラルフがソロパートの演奏を終え、最後のひとこと挨拶、その時。。。

ラルフはややオーバーなアクションで、腕時計を見るジェスチャーをした。
不適な笑みを浮かべて。

「これは!・・・くる!」 ボクは直感した。

最後の挨拶を終え、ラルフが舞台から去り、万雷の拍手、拍手。
いつものように会場が明るく・・・ならない!

突然、ボクのとなりの女性が声をあげた。

「プラネット・オブ・ビジョンズやってませんよね」

「・・・はい?」

ボクは一瞬、自分に話しかけられたとは思わなかった。

女性「プラネット・オブ・ビジョンズやってませんよね!ってことは?!」
ボク「電卓もやってませんよ!これはやりますね!!」
女性「ほんとだ!うわー」

まもなくメンバーが再登場。
会場は大興奮の渦。

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
「ありがとー!!!!!」

まさかの展開に感謝の雄叫びがあがる。


これまで周ってきた世界各国のセトリを見ても、アンコールの記述はない。
これは日本だけのスペシャリティなのか?!!
どれだけ日本を好きでいてくれるんだよおおおおおお!!!!!(涙


「POCKET CALCULATOR」から「電卓」の繋ぎに観客は熱狂。
「ボクハオンガッカ、デンタクカタテニ!!!」
会場全員で大合唱。

デンタク


更にアンコールは「EXPO2000」から「PLANET OF VISIONS」へ。
現代のエレクトロシーンにも十分対抗しうる弾むビートに、
クールなワイヤーフレームの映像がかっこよすぎる!!
いまだ進化を止めず、最前線のテクノミュージックを聴かせるクラフトワークという存在に陶酔。

プラネッツ




最後は4人同時にコンソールから降りて、舞台の隅に並んで笑顔で挨拶!
人間、クラフトワークを垣間見せてくれた貴重な瞬間でした。

aisatu02.jpg






具象と抽象、クールとユーモアの間を巧みに漂い、
観る者の想像力を刺激する今まで見たことのない映像、
聴いたことのない音響につつまれて、
ボクは至福の時を過ごしました。

8days。出し惜しみなく、彼らなりのサービス満点のショウを、
ボクたちにプレゼントしてくれたクラフトワーク。
テクノの醍醐味をこれでもかと見せつけてくれたクラフトワーク。

人生の中で、このショウに出会えたことに感謝したい。
今は、そんな「ありがとう!」の気持ちでいっぱいです。






おわり。







テクノポップ






ブログランキングに参加しています。
にほんブログ村 音楽ブログ テクノへ 人気ブログランキングへ 


コメント

  1. 楽日 | URL | -

    伝説から神話へ

    行ったのは初日だけでした。
    「ビタミン」はやらなかった・・・残念。
    「電卓」は中盤に演奏され、初日も大合唱でした。
    こんなにもクラフトワークファンが多いことに驚きました。

    今回のライブは伝説というより神話ですね(←山口百恵より盗作)。
    本当に素晴らしいライブでした。
    クラフトワークを好きになって30年。
    そんな自分に少し誇りを持てた2時間でした。

  2. RM-2 | URL | E3/Znv2o

    これは . . .

    素晴らしすぎます!
    やっぱりだてに世界のクラフトワークじゃないですね...
    ロボさまの臨場感満点の記事を拝読しただけで もう かなり感動しました! (笑)
    いつも詳細なライブレポ記事ありがとうございます。
    実際に体験したら、そうとうエキサイティングなのでしょうね。
    電卓大合唱とかウラヤマシスギ ^^; 

    一応これはなかったことに... 泣 ww

  3. ロボトリア | URL | -

    >楽日さん

    コメントありがとうございます。

    お、初日から大合唱ありましたか!
    そうですねー、普段の生活でクラフトワークを好きな人と接することはまずありませんので、
    コンサートに行くと当然ながら好きな人だらけで、ボクも新鮮な驚きでした。

    >今回のライブは伝説というより神話ですね

    はい、あまりにも完成度が高かったです!

    >クラフトワークを好きになって30年。
    そんな自分に少し誇りを持てた2時間でした。

    ボクも昨年のNO NUKESを除けば初めてのコンサートだったんですよね。
    30年以上ひとつのコンセプトを磨き上げている姿勢に驚愕し、
    また本当に感無量でありました。

  4. ロボトリア | URL | -

    >RM-2さん

    コメントありがとうございます。

    ええ、本当に素晴らしかったんですよ。今の所悪く言う人を見たことがありません(笑)

    >ロボさまの臨場感満点の記事を拝読しただけで もう かなり感動しました! (笑)

    ああ、ホッとしました。今回のレポはちょっと力み過ぎて独りよがりになってしまいましたので(;^_^
    だって、ブログを始めてまさかクラフトワークのライブレポを書ける日がくるとは
    思わなかったんですよ(笑)

    >実際に体験したら、そうとうエキサイティングなのでしょうね。

    興奮の中にもどこか冷静にコンサートを楽しんでいる自分もいました。
    そしてそれにクラフトワークさんは圧倒的なクオリティで応えてくれたんです!
    また来て欲しいですね〜(*^^*)

コメントの投稿

(コメント編集・削除に必要)
(管理者にだけ表示を許可する)

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://robotoria.blog14.fc2.com/tb.php/738-f96b7319
この記事へのトラックバック



上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。