--年--月--日 --:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

空手道ビジネスマンコース@亀戸支部~第2話

2011年03月08日 21:36

つづきです。
第1話は→コチラ




階段を昇りながら男はしゃべり続けた。

「大丈夫ですよ~。うちの先生やさしいから。それに少しおっちょこちょいだし、ははは」

「は、はあ~」

3階に道場はあった。

「オッス、先生!見学の方、連れてきました~」
その女性は道場の、やや奥、隅にいた。
床に尻をついて大きく足を広げ、ストレッチをしていた。ほぼ180度開いている。
(すごい!なんて柔軟性なんだ!)

こちらに気付き、一瞬目を大きく開いたと思ったら、
すぐに眉を八の字してにこやかな笑みを浮かべ、走りよってきた。

「あらー、イワイさんありがとう。また無理矢理連れて来たんでしょう? ウフフ」

「いや~、だってこの人、顔に入門したいって書いてあったし・・・いや、失礼、え~とお名前は?」

「あ、敏夫といいます。瀬川敏夫といいます。あの・・・」

「こんにちは。はじめまして! わたし、ここの亀戸支部を任されている大木といいます。
大木彩子れす。」

少し舌足らずなしゃべり方。でもいやな感じはしない。
懸命に伝えようとする気持ちが前に出て、むしろ真面目な印象だ。
いつも窓越しから見ている厳しい顔とは全く違う。
ちゃめっけたっぷりの柔らかな表情に敏夫は見とれていた。
(う、美しい・・・なんて美少女なんだ、目がキレイだ・・・肌も)

「え~と、今日は見学でよろしいですか? なんなら体験入門もできますけど?
さっき、キッズコースが終わって、これからちょうどビジネスマンコースが始まるところなんですよ」

「そうだ敏夫さん、体験してみたらどうです? 道着は貸しますんで」

「はあ~、わかりました・・・」

敏夫はもう、正常な判断ができなかった。どうにでもなれと思った。
でもどこか嬉しい気持ちもあった。

(なんだろう。このあったかい気持ちは・・・)

男は敏夫をロッカー室へ案内し、てきぱきと道着を用意して、帯の締め方などを教えてくれた。

「あ、申し遅れました。僕、イワイといいます。26歳、一応サラリーマンです。
ここに通い始めて1年になります。よろしくお願いします。わからない事があったら何でも聞いてくださいね」

やけに落ち着いた物腰からもう少し年上かと思い込んでいた。
イワイが着替えはじめると、引き締まった肉体に敏夫は感心した。
自分もああなれるのだろうか。

「ん?」

イワイの背中にいくつもの深い古傷を発見したが、敏夫は気付かぬ振りをした・・・


道場に出るとすでに数名の道場生が正座して並んでおり、
相対して、彩子も正座していた。
そそくさとイワイとふたり、最後列に並んだ。

「それでは始めま~す。はい、黙想!」

ピンと背筋を伸ばし目を閉じる彩子先生。
それまでのおだやかな空気が一変。しんとした道場に緊張感が張りつめた。
戸惑う敏夫は薄目を開けて、彩子の顔を見つめていた。
(やっぱり凛々しい。顎のラインがキレイだな・・・)

「黙想やめ! それでは稽古を始めます。礼!」

「お願いします!」

「じゃあ、今日はイワイさん、前でお願いします。わたし敏夫さんの指導につきますので」

「え~、またですか~。いいな~敏夫さん個人レッスンじゃないですか~」

ある程度、基本を覚えた者は勉強も兼ねて前で見本となる場合があるのだ。
彩子はイワイと入れ代わり、敏夫の隣へやってきた。

「イワイさんや、前の人たちを見ながらやってくださいね。わたしもアドバイスしますので」

「は、はい」

敏夫はなんだか夢心地だったが極力顔に出すまいと、気を引き締めていた。

まずは準備運動から始まった。
全身の筋肉、間接をくまなく伸ばすのだ。

「はい次、股割りいきま~す」

イワイのかけ声で皆、いっせいに開脚する。
敏夫もやってみる。
(だめだ。全然開かない・・・もう少し開くと思ったが・・・)
自分でも情けなくなるほどだった。
隣の彩子に目をやると、彼女は180度開脚した上、胸まで床にぴったりと付けていた。

「最初は開くところまででいいですよ。無理して痛いほどやらないでくださいね。
かえって固くなってしまいますから」

(そうなんだ。よく若い力士が苦悶の表情を浮かべて無理矢理開かされているのは、古いやり方なんだな・・)

「柔軟は空手の基本ですからね。これによって上段蹴りや踵落としができるようになるんです。
ケガの防止にもなりますから、毎日少しずつでも必ず続けてくださいね。
あの~、1日1ミリずつ多く開くとするじゃないでれすか。ひと月で3センチでしょう?
1年で・・・ね。たくさん!ふふふ」

彩子は床にほっぺたを付けたまま、にっこりと無邪気な笑みを浮かべた。
敏夫は顔を真っ赤にしてうつむいた。

(そうか、少しづつでも続けることが大切なんだな。なんでも近道なんてないんだな)


敏夫は、うんと年下の彩子に何か大事な事を教えてもらった気がした。



(つづく)






勝手にエンディング・テーマ(笑)






お楽しみいただけましたら、ポチッとお願いします。
にほんブログ村 音楽ブログ テクノへ 人気ブログランキングへ 


コメント

  1. JOH-T | URL | eT.d39bM

    新連載はじまってる!

    昨日から始まってたんですね。すみません第1話見逃しましたー。(^^;)

    空手?、亀戸?、大木?彩子れす??、なんとなく読めそうで読めない展開。ロボッチさんの妄想パワー炸裂!といったところでしょうか。

    あの、エンディングテーマはこれから毎回付くんでしょうか。なかなかいい感じでしたので。毎回あったらいいなと思いました。

    つづき、楽しみにしてます。あの、別にプレッシャーかけるつもりではありませんので、気の向いたときに続けてください。(でも結構期待してます)

  2. runrun1006 | URL | v8QjPvAY

    もうひとつの

    下地がわからなくて悶々としています(笑)
    この先どうなるのか楽しみですねぇ(* ̄∇ ̄*)
    勝手にエンディングテーマがツボでした。
    質問です。エンディングテーマは話の内容に合わせて毎回変わるのでしょうか?(ハードルを上げてみますた)

    (追記)
    コメント見たらJOH-Tさんとまるかぶりやないですか~(;´▽`A``
    JOH-Tさん、スミマセン。パクった訳ではありませんので・・・

  3. おとわしゅな | URL | QFk3YRjk

    ふふふ

    なんだか…
    大本さん大木さんへの愛と言うか憧れが
    文字から画面から滲み出してモニタが壊れそうです(^^

    ロボッチさんの文章はサッパリつつしっかりとコクがあるので?
    読み易いですw

    マイペースで続けてください~♪

  4. ロボトリア | URL | -

    > JOH-Tさん

    コメントありがとうございます。

    ひっそりと始まっております(笑)よかったら読んでみてくださいね。

    エンディングテーマは毎回付ける予定です。連続ドラマのイメージです(^^)
    今後どうなるんでしょうね。
    ボクも早く続きが知りたいです(笑)

  5. ロボトリア | URL | -

    > runrun1006さん

    コメントありがとうございます。

    もうひとつの下地は連載が終了したら、明らかにするつもりです。
    気付いてる人はもう気付いてるハズです( ̄∇ ̄*)

    エンディングテーマ、好評で嬉しいですね。
    連続ドラマをイメージしているので、毎回同じでいこうと思っています。
    内容に合わせて変えるのも面白いですが、回を重ねるごとに同じ曲でも聴こえ方が
    違ってくるのではと、期待しています(こっちの方がハードル高い!)

  6. ロボトリア | URL | -

    > おとわしゅなさん

    コメントありがとうございます。

    滲みでてましたか? キモキモオーラでモニタが故障しても責任は負いません( ̄∇ ̄*)

    >ロボッチさんの文章はサッパリつつしっかりとコクがあるので?
    読み易いですw

    く~、嬉しいことを言ってくれます。おいしいラーメンみたいな表現ですね!
    自分が長文を読むのが苦手なので、少しでも読みやすくと心がけています。
    でも、思いが強いと、ついくどくなってしまうんですよね。難しいっす(;^_^

  7. mtst | URL | -

    いや~ダメだ

    前半での敏夫さんのメロメロさ加減に
    ニヤニヤが止まらず
    後半での萌え萌えさ加減に
    ニタニタが止まりません。
    ダメです。表情のコントロールがききません(笑)

  8. ロボトリア | URL | -

    > mtstさん

    コメントありがとうございます。

    敏夫さん、萌え萌えですね~。
    いい大人が滑稽ですね。見てて微笑ましいですよ。ハハハ
    ・・・アレ?

コメントの投稿

(コメント編集・削除に必要)
(管理者にだけ表示を許可する)

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://robotoria.blog14.fc2.com/tb.php/300-5924c932
この記事へのトラックバック



上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。